こんにちは、病院薬剤師のMoKaです。
自分は薬剤師になる遥か昔(6歳)からサッカーをしていました。
薬剤師になり15年くらいになりますが、薬剤師歴よりサッカー歴の方が長いです。
サッカーはその躍動感あふれるプレイと熱い情熱でたくさんの人を魅了します。
しかし、その煌めく世界の裏でドーピングという影が・・・。
この記事を通じて
ドーピングとは?
どんな薬が禁止されているのか?
など解説していきます。
サッカーの真の美しさを守るために、私たち1人ひとりができることを心を込めてお伝えします。
どうぞ、この旅にお付き合いください。
1. スポーツにおける薬物の使用
1-1. ドーピングとは何か?
ドーピングとは、スポーツ選手が不正にパフォーマンスを向上させるために禁止薬物や方法を使用することです。
禁止薬物を意図的に使用することだけをドーピングと呼びがちですが、意図的であるかどうかに関わらずルールに反する競技能力を高める「方法」やそれらの行為を「隠すこと」含めてドーピングと呼びます。
ドーピングは競技の公平性を損ない、選手の健康にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
1-2. ドーピングの歴史と現状
ドーピングは古代オリンピックから存在していましたが、近代スポーツにおいては科学的な方法が取り入れられより複雑で隠蔽されるようになりました。
現在では、国際的なスポーツ組織(世界ドーピング防止機構:WADA)がドーピングを厳しく取り締まっています。
1-3. ドーピングがサッカーに与える影響
ドーピングはサッカー選手のキャリアだけでなく、彼らが所属するチームや全体のスポーツ界にも悪影響を及ぼします。
信頼の喪失やファンからの支持減少など、スポーツのイメージにも打撃を与えるので影響はとても大きいです。
2. ドーピング検査のプロセス
2-1. ドーピング検査の種類
ドーピング検査には尿検査と血液検査の二種類があります。
これらは選手が使用している禁止薬物を検出するために行われます。
2-2. 検査の流れと手順
検査は試合前後やオフシーズン中に無作為に行われ、選手は検査官の前でサンプルを提供する必要があります。
ドーピング検査は競技会検査と競技会外検査があります。
競技会検査は競技会に参加した選手がクリーンであることを証明し、そのパフォーマンスや記録が本物であることを証明するために行われます。
競技会外検査は競技会以外でドーピング検査を行うことでクリーンな選手が競技会に参加できるように環境を整えることや、クリーンなスポーツに参加する選手の権利を守るために行われます。
ドーピング検査の手順ははとてもに厳しく管理されています。
2-3. ドーピング検査の法的側面
ドーピング検査は選手のプライバシーに関わる問題も含むため、法的な規制が設けられています。
選手の権利を守るために、検査プロセスは透明でなければなりません。
3. ドーピング禁止薬物
3-1. 禁止されている薬物の種類
禁止薬物にはステロイド、ホルモン剤などがあります。
他には利尿薬やβ2刺激薬が含まれることに驚きました。
下記のサイトで商品名や一般名から調べることができますのでご活用ください。
Global DROのHP
https://www.globaldro.com/JP/search
最近のトピックとして、2024年1月1日からトラマドールがドーピング禁止薬物になったことです。
トラマドールはオピオイド鎮痛薬で整形領域などで痛み止めとして使用されています。
また商品名もいろいろあり、アセトアミノフェンと配合されている商品もあるため注意が必要です。
3-2. 薬物の効果と副作用
禁止薬物は一時的にパフォーマンスを向上させるかもしれませんが、心臓病や精神障害などの副作用を引き起こすリスクがあります。
3-3. 「うっかりドーピング」を防ぐ方法
意図しないドーピングのことを「うっかりドーピング」と言います。
選手は自分が使用するサプリメントや薬の成分を常に確認し、禁止薬物が含まれていないことを確かめる必要があります。
4. ドーピングとサッカー選手の健康
4-1. 薬物乱用の健康リスク
ドーピングは選手の心臓、肝臓、そして精神健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
4-2. 選手の健康管理とサポート体制
クラブや組織は選手の健康を守るために、医療サポートやカウンセリングを提供する必要があります。
4-3. ドーピングからの回復とリハビリテーション
ドーピングによる健康被害を受けた選手は、適切な治療とリハビリテーションを通じて回復することができます。
5. 教育と予防
5-1. 若手選手への教育プログラム
若手選手にはドーピングのリスクとその影響について教育することが重要です。
5-2. チームとコーチの役割
チームとコーチは選手が正しい選択をするように導き、サポートする責任があります。
5-3. ファンとメディアの影響
ファンとメディアはドーピングに対する意識を高め、清廉なスポーツ精神を促進する役割を果たします。
5-4. 製薬会社の役割
ドーピング問題に対して取り組んでいる製薬会社もあります。
5-5. 薬剤師の役割
日本アンチ・ドーピング機構が認定するスポーツファーマシストという資格があります。
資格対象者は基礎講習会の受講した薬剤師の資格を有する者です。
主な活動例は以下のとおりです。
スポーツファーマシストHPより
- 医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
- 学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供
- 地域におけるスポーツファーマシストの存在とアンチ・ドーピング活動の周知
- 国民スポーツ大会に向けての都道府県選手団への情報提供 等
まとめ
今回はドーピングと薬について解説しました。
ドーピングは意図的に禁止薬物を使用することだけではなく、「うっかりドーピング」といい普段使用している薬やサプリメントに禁止薬物が含まれている可能性があるため注意が必要です。
サッカー界におけるドーピング問題は、スポーツの公平性と選手の健康に深刻な影響を及ぼしています。
薬物検査のプロセスは進化しているものの新たな課題が生じており、検査の公平性やプライバシー保護が議論されています。
ドーピング違反が発覚した選手には厳しい処罰が科される一方で、リハビリテーションプログラムを通じた復帰支援も重要です。
ドーピング防止のための教育と啓発活動は、クリーンなスポーツ文化を育むために不可欠であり、国際的な協力と技術の進歩を活用して、より厳格な検査体制の整備が求められています。
将来的には、ドーピングに頼らずに最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作ることが、サッカーをクリーンで公平なスポーツとして保つための鍵となると思っています。
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