サンドスタチンという薬剤には皮下注製剤と筋注製剤があります。その違いを病院薬剤師が詳しく解説します。
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こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。
サンドスタチンに皮下注製剤と筋注製剤があるけど何が違うの?
サンドスタチンとはソマトスタチンアナログ製剤で主成分はオクトレオチド酢酸塩です。
サンドスタチンには皮下注製剤と筋注製剤がありますが「何が違うの?」という疑問が出てきます。
先に結論を言うと、ずばり適応症と使い方が違います。
今回はサンドスタチンを初めて扱う人でも皮下注製剤と筋注製剤の違いが分かるように解説します。
自分はどちらの製剤も取り扱った経験がありますので、分かりやすく解説できます。
サンドスタチンとは何か?
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サンドスタチンはソマトスタチンアナログ製剤で主成分はオクトレオチド酢酸塩です。
ソマトスタチンとは、14個のアミノ酸からなるポリペプチドで視床下部、膵臓(D細胞)、消化管などに広く分布していて、下垂体における成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)をはじめ、消化管でのガストリン、VIP(vasoactive intestinal polypeptide)、セクレチン、膵臓でのグルカゴン、インスリンなどのホルモン分泌の抑制作用をもち、消化管運動を抑制するなどの作用があります。しかし、血中半減期が2〜3分と短いことが欠点で、その欠点を解消したのがサンドスタチンです。
サンドスタチンはソマトスタチンの生物学的活性を示すために重要な部位である4つのアミノ酸配列は残し、8個のアミノ酸からなる環状ペプチドにすることで血中半減期が100〜105分と作用の持続性が可能になりました。
サンドスタチンは効果の持続時間が長くなったということですね。
ちなみにですが、サンドスタチンの名称の由来は、サンドファーマ社(現ノバルティス ファーマ社)で開発されたソマトスタチンアナログ製剤だからです。
サンドスタチン皮下注
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サンドスタチン皮下注の適応症は以下の通りです。
- 下記疾患に伴う諸症状の改善
消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍) - 下記疾患に伴う成長ホルモン、ソマトメジン-C分泌過剰状態及び諸症状の改善
先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合) - 進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善
- 先天性高インスリン血症に伴う低血糖(多剤による治療で効果が不十分な場合)
また、サンドスタチン皮下注用の使い方は、1日に2〜3回の皮下投与や24時間持続皮下注です。
いろいろな疾患に使えますが、投与回数が多くなる、24時間持続して投与するなどの欠点がありますね
自分は緩和医療における消化管閉塞に対して使うことが多いです。
主に下部消化管で水分の再吸収促進と消化液分泌を抑制する作用で、消化管閉塞による悪心・嘔吐だけでなく、消化管内圧上昇に伴う苦痛の緩和が期待できます。
ただし効果は限定的なので、使用する場合は慎重に又、長期で使用することはありません。
サンドスタチンLAR筋注用キット
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サンドスタチン筋注用の適応症は以下の通りです。
- 下記疾患に伴う諸症状の改善
消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍) - 消化管神経内分泌腫瘍
- 下記疾患に伴う成長ホルモン、ソマトメジン-C分泌過剰状態及び諸症状の改善
先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)
また、サンドスタチン筋注用の使い方は4週毎に1回です。
皮下注製剤に比べると、適応症は少なくなりますが、投与回数も少なくなりますね。
皮下注用はアンプル製剤ですが、筋注用はオクトレオチドを含む徐放性に粉末を充填したバイアルと、専用分散液を充填したガラス製プレフィルドシリンジに分かれていて、使用時に調整します。
LARはLong Acting Releaseの略です。
自分は先端巨大症に対して取り扱ったことがありますが、薬液が固まりやすく、とても慎重に調整しています。
まとめ
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今回はサンドスタチンの皮下注製剤と筋注製剤の違いについて解説しました。
皮下注製剤と筋注製剤では適応症や使い方が異なっています。
皮下注製剤は筋注製剤に比べ、適応症が多く投与回数も多かったですね。
ですので、使用する場合は適応症はかならずチェックしましょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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