こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。
先月、緩和ケアに関する学会に参加してきました。
緩和薬物療法認定薬剤師として、また緩和ケアチームの一員としてたくさんの知識や技術を学んできましたので報告します。
学会の概要
参加した学会は2024年6月14日と15日の2日間、神戸市で開催された第29回日本緩和医療学会学術大会・第37回日本サイコオンコロジー学会総会合同学術大会です。
参加人数はなんと7,000人以上!
また、医療従事者だけでなく、患者さんやそのご家族も参加可能です。
魅力的な演題のオンパレード
魅力的な演題が目白押しで、どの演題を選ぶかは本当に難しかったです。
ですが、どの演題に出席しても新しい発見と感動があり、心からの充実感を得ることができました。
今回は特に印象に残った演題について3つご紹介します。
鎮痛補助薬について
がん患者さんに鎮痛補助薬を検討する場合、きちんと病態を把握し薬剤を選択できるようにすることが重要です。
患者さんが「痺れがあります」と訴えると、「じゃあ、ガバペンチノイドを出すね」ではいけません。
患者さんが訴える痺れが本当に痺れなのか、もう少しきちんとアセスメントする必要があります。
痺れと訴える患者さんの中には、痺れではなく麻痺である可能性もあります。
残念ながら麻痺は薬では改善しません。
改善しない薬を使うことで効果がないばかりか、副作用で患者さんがさらに辛い思いをする可能性があります。
ですので、きちんと患者さんから情報を聴き取りアセスメントをして、患者さんの病態に合った薬を使うことはとても重要なことです。
コミュニケーションについて
みなさん、コミュニケーションは得意でしょうか?
私は正直、得意ではありません。
ですが、緩和医療においてコミュニケーションとても大切です。
では、コミュニケーションについてどこで学習しますか?
最近では、コミュニケーションに関する書籍が多数あり、また研修会等もあるのですが、お金がかかったり、研修会があるところまで行かなければいけなかったりと足が重いです。
そこで活用するのが、日常での他人との会話です。
日々の患者さんとの会話や多職種とのカンファレンスもコミュニケーションを学ぶ場になります。
当たり前のように感じられますが、日常の中から学ぶことはとても多いと思います。
おそらく失敗もするし上手く行かないこともあるでしょう。
そういうときは書籍や研修会等を活用し、多様な学びの場で体系系的に学ぶこと必要があります。
毎日がコミュニケーションの修行ということですね。
高齢者の薬物療法
高齢者は成人と比べクリアランスが低下している場合が多いです。
つまり、薬剤を服用しても排泄できず、体内に残る割合が多くなります。
すると、どうなるかというと副作用が強く出るので、患者さんが辛い思いをする可能性があります。
緩和医療で使用される薬の中には鎮静作用のある薬が多くあります。
そのような薬が効きすぎてしまうと、患者さんが転倒してしまう可能性が出てきます。
高齢者は転倒しても自分から訴えないことが多いそうで、確かにそうだなと自分も感じます。
ですので、高齢者の患者さんが薬を使う場合は、少量から開始し、増量するときも慎重にする必要があります。
学会の楽しみ方
本学会は学術的なセッションだけではありませんでした。
スタンプラリーやキッチンカーの出店など、参加者が楽しめる工夫をされていたのがありがたかったです。
自分はスタンプラリーで日本緩和医療学会の新しいロゴのバッチをゲットしました。
多くの出会い
本学会は、全国の緩和ケアに取り組む仲間たちと出会い、交流する絶好の機会でした。
ワークショップや交流集会ではグループで集まって、多職種と熱い熱いディスカッションを行いました。
また、X(旧Twitter)で交流のある方とも実際お会いすることができたので、感激でした。
緩和ケアという分野はまだエビデンスが充分ではなく、多くの疑問が残る領域です。
しかし、同じ課題に直面している仲間たちとのつながりは、これからの活動に大きな励みとなります。
まとめ:学んだことの実践へ
今回の学会で得た知識や技術を活かし、患者さまやそのご家族にとってより良い緩和ケアを提供できるよう、日々の業務に取り組んでいきます。
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