【解熱鎮痛薬】市販薬と処方薬のカロナールの違いを病院薬剤師が解説

薬剤師

カロナールの市販薬と処方薬の違いからカロナールによる肝障害について解説します。

こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。

2024年10月から新型コロナワクチンの定期接種が始まります。

新型コロナワクチンといえば接種後に発熱が出現するのことが多いですね。

そこで熱を下げるためによく使用されるのがカロナールです。

解熱鎮痛薬として有名なカロナールですが、病院などの医療機関で処方してもらう処方薬とドラッグストアなどで購入できる市販薬があります。

何か違いはあるのでしょうか?

その違いについて病院薬剤師が解説し、肝障害についても触れていきます。

  • カロナールの成分であるアセトアミノフェンについて分かる
  • 市販薬のカロナールAと処方薬のカロナールの違いが分かる
  • アセトアミノフェンによる肝障害について分かる
【第2類医薬品】カロナールA 24錠
解熱鎮痛薬 速くよく効いて胃にやさしい 頭痛・発熱・生理痛 ●解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」が、中枢神経に速やかに作用し、すぐれた鎮痛・ 解熱効果を発揮します。 ●胃への負担が少ない解熱鎮痛薬です。 ●眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含み...

カロナールの成分:アセトアミノフェンとは?

カロナールの成分はアセトアミノフェンです。

アセトアミノフェンは1893年に初めて医薬品として用いられましたので、かなり前から使用されている薬です。

アセトアミノフェンには熱を下げる作用(解熱作用)と痛みを和らげる作用(鎮痛作用)があります。

ですので、解熱鎮痛薬と言われる分類の薬です。

アセトアミノフェンの解熱作用・鎮痛作用の機序ですが、詳しくは解明されていません。

一般的には、COX(シクロオキシゲナーゼ)阻害による疼痛伝達を抑制し鎮痛作用を、体温調節中枢の機能を正常化して解熱作用を示すと考えられています。

同じ解熱鎮痛薬にロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がありますが、少し作用が違います。

NSAIDsには炎症を和らげる作用(抗炎症作用)がありますが、アセトアミノフェンにはありません。

そのため、抗炎症作用を目的としてアセトアミノフェンは効果があまり期待できないということです。

ただし、アセトアミノフェンはNSAIDsに比べて腎機能・体液貯留に対する影響が少なく、NSAIDsが使用困難な患者さんに使用することができる薬です。

2023年に「禁忌」の改訂があり、重篤な腎障害のある患者や重篤な心機能不全のある患者などは禁忌項目からなくなりました。

市販薬のカロナールA

カロナールAは第一三共ヘルスケアから発売されています。

1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれており、この規格しかありません。

効能・効果

〇頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷後の疼痛、〇悪寒・発熱時の解熱

用法用量

1回1錠を1日3回までで、投与間隔は4時間以上です。

注意点として15歳未満には使用できません。

【第2類医薬品】カロナールA 24錠
解熱鎮痛薬 速くよく効いて胃にやさしい 頭痛・発熱・生理痛 ●解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」が、中枢神経に速やかに作用し、すぐれた鎮痛・ 解熱効果を発揮します。 ●胃への負担が少ない解熱鎮痛薬です。 ●眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含み...

処方薬のカロナール錠

カロナール錠はあゆみ製薬から販売されています。

1錠中にアセトアミノフェンが200mg、300mg、500mg含まれている製剤があり、複数の規格があります。

効能・効果

◯各種疾患及び症状における鎮痛◯下記疾患の解熱・鎮痛:急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)◯小児科領域における解熱・鎮痛

用法用量

◯各種疾患及び症状における鎮痛:1回の用量は300~1000mg、1日総量は4000mgまで、投与間隔は4~6時間

◯下記疾患の解熱・鎮痛 急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む):1回の用量は300~500mgを頓用(原則2回まで)、1回総量は1500mgまで

◯小児科領域における解熱・鎮痛:1回の用量は体重1kgあたり10~15mg、1日総量は60mg/kgまで(ただし成人量を超えない)、投与間隔は4~6時間

市販薬のカロナールAと違い、15歳以下でも使用できる高用量が使用できるなどの違いがあります。

処方薬にはカロナールの成分アセトアミノフェンとして、坐薬や粉薬、注射剤も存在します。

市販薬より投与経路のバリエーションが多いです。

肝障害

肝障害の機序と注意が必要な人

カロナールの成分であるアセトアミノフェンを大量に摂取すると肝障害が起こる危険性があります。

その機序は

アセトアミノフェンはほとんどが硫酸抱合やグルタチオン抱合で代謝されます。

また、数%が肝薬物代謝酵素であるCYP2E1により代謝され、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)となりますが、このNAPQIが肝細胞壊死を引き起こします。

通常、NAPQIはグルタチオンにより代謝され無毒化されますので、肝細胞壊死が起きません。

しかし、アセトアミノフェンを大量に摂取するとグルタチオンが枯渇し、NAPQIが代謝できなくなり、肝細胞壊死が起こり肝障害となります。

アセトアミノフェンを大量に摂取しなくても、肝障害が起こりやすい人がいます。

下記の人には特に注意が必要です。

肝障害に注意が必要な人
  • 高齢者→グルタチオン合成能低下
  • 低栄養→グルタチオン枯渇
  • 長期の飲酒→CYP1E2が誘導
  • CYP2E1誘導薬(イソニアジド、カルバマゼピン、フェニトインなど)を服用中→CYP2E1が誘導

アセトアミノフェンを含む他の製剤との併用について

アセトアミノフェンは処方薬のカロナール錠や市販薬のカロナールA以外にも多くの製剤があります。

そのような製剤と併用することで、知らず知らずにアセトアミノフェンを大量に摂取してしまい、肝障害が起こる危険性もあるため注意しましょう。

もし、アセトアミノフェンの大量摂取による肝障害が起こったら

アセチルシステインを使います。

アセトアミノフェンによる肝障害が起こった場合、グルタチオンの枯渇が考えられますが、グルタチオンは細胞に取り込まれにくいため、その前駆体であるアセチルシステインを投与することでグルタチオンを補給し、NAPQIによる肝障害を防止します。

まとめ

今回は処方薬のカロナール錠と市販薬のカロナールAの違いやアセトアミノフェンによる肝障害について解説しました。

主な違いは

市販薬と処方薬では使用できる年齢や用法用量が異なる

肝障害を防ぐには注意しないといけない人がいる

でしたね。

読んでくださった方の知識の整理に役立てば幸いです。

参考

  • 第一三共ヘルスケアHP
  • カロナール錠添付文書
【第2類医薬品】カロナールA 24錠
解熱鎮痛薬 速くよく効いて胃にやさしい 頭痛・発熱・生理痛 ●解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」が、中枢神経に速やかに作用し、すぐれた鎮痛・ 解熱効果を発揮します。 ●胃への負担が少ない解熱鎮痛薬です。 ●眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含み...

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