がんによる痛みを緩和するためにデルマトームの知識は欠かせません。デルマトームについて薬剤師が知っておくべきことを解説します。
こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。
この図、何か分かりますか?
そうです、デルマトームですね。
「えっ、デルマトームって何?」「デルマトームとは分かるけど、使い方まで分かりません。」「アルファベットや数字って何を表しているの?」という声が聞こえてきそうです。
薬剤師はデルマトームについて勉強したり使ったりする機会が少ないと思います。
しかし、がんによる痛みを緩和するにはデルマトームの知識や使い方を知っておくほうがよいです。
最初にデルマトームを簡単にいっておくと
脊髄神経が支配している皮膚の領域のこと
身体の地図のように、どの神経がどの部分の感覚を司っているかが分かる
この記事を読むことで以下のことが理解できます。
緩和ケアチームの一員として活動中の緩和薬物療法認定薬剤師のMoKaがデルマトームについて解説します。
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デルマトームの前に:脊髄神経とは?
デルマトームの理解には脊髄神経について知っておく必要あり
アルファベットや数字は脊髄神経を示している
デルマトームを見るとまずCやTなどのアルファベットと数字が何か分からない人が多いのではないでしょうか。
あのアルファベットと数字は脊髄神経を表しています。
ですので、まずは脊髄神経を学ぶほうがデルマトームを理解する近道です。
脊髄神経は脊髄から伸びている神経の束で、脳からの運動指令を筋肉に伝えたり、身体の感覚情報を脊髄に伝える役割があります。
脳が手を動かしてと指示を出せば手が動き、冷たいものを触って冷たいと感じるのは脊髄神経の働きです。
脊髄神経には頚神経、胸神経、腰神経、仙骨神経、尾骨神経があり、C、T、L、S、Coはそれぞれの英語の頭文字です。
頚神経(Cervical nerve)=C
胸神経(Thoracic nerve)=T
腰神経(Lumbar nerve)=L
仙骨神経(Sacral nerve)=S
尾骨神経(Coccygeal nerve)=Co
また、頚神経は8対、胸神経は12対、腰神経は5対、仙骨神経は5対、尾骨神経は1対あり、以下のようにアルファベットと数字でそれぞれの神経を示します。
頚神経=C1~C8
胸神経=T1~T12
腰神経=L1~L5
仙骨神経=S1~S5
尾骨神経=Co1
アルファベットと数字が何を表しているか分かっていただけたでしょうか。
これでデルマトームを理解する準備が整いましたね。
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デルマトームとは何か?
脊髄神経が支配している皮膚の領域
身体の地図のように、どの神経がどの部分の感覚を司っているかが分かる
デルマトームは「皮膚が侵害刺激を入力するレベル」「皮膚分節知覚帯」などと説明されることがありますが、正直よく分かりませんよね。
デルマトームは分かりやすく例えると、身体の地図のようにどの神経がどのあたりの皮膚の感覚を司っているかが分かるためのものです。
例えば、首の痛みや痺れがある場合、デルマトームを用いることでどの神経が原因となっているかがある程度推測することができます。
実際には痛みやしびれの原因がその場所から離れた神経となっていることもありますので、デルマトームを用いて痛みの原因を推測することはとても重要なことです。
ちなみに、痛みの原因となる場所とは異なる場所に感じる痛みのことを関連痛といいます。
デルマトームと似た言葉に、オステオトームとヴィセロトームがあります。
オステオトームは骨からの侵害刺激が入力する脊髄レベルを示し、ヴィセロトームは内蔵からの侵害刺激の入力を示す図です。
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デルマトームを活用するメリット
痛みの原因を特定
治療法の選択に役立つ
デルマトームはなぜ必要なのでしょうか?
それは痛みやしびれを感じている場所からがんの発生している部位を推測できる可能性があるからです。
患者さんが痛みやしびれを訴える場所には何も病変がないこともあります。
そんな場合は、痛みやしびれを訴える場所から離れた神経に病変があるかもと推測できます。
ですので、デルマトームの知識を持っておくことは必要なのです。
また、どの神経が刺激されているかによって適切な治療法を選ぶことができるので、治療法の選択にも役立ちます。
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薬剤師がどのようにデルマトームを活用できるのか?
痛みのアセスメントや治療薬の選択に活用
デルマトームの知識は患者さんの疼痛を和らげるために必要な知識です。
薬剤師が患者さんから痛みやしびれの訴えを聴取するときに、デルマトームの知識を活用することでより詳細な情報を得ることができます。
がん患者さんとの関わりの中で患者さんは痛みを訴えることがよくあります。
ですが、痛みを訴える場所にがんの病変がない場合、どうして痛みがあるのだろうと疑問を持ちます。
そこでデルマトームの知識を活用してください。
痛みを訴える場所をしっかり聴き取り、デルマトームの図を用いて痛みの原因となっている場所を推測することができます。
原因となる場所が推測できることで、痛みの原因疾患を絞り込むことができ、他の医療者への情報提供や患者さんへの説明に役立てることができます。
ですので、デルマトームの知識は患者さんの疼痛を和らげるために薬剤師が持っておくべき必要な知識です。
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まとめ
デルマトームは患者さんの痛みやしびれをアセスメントする時に使える知識です。
また、鎮痛薬の選択にも活用できます。
最初は難しいかもしれませんが、デルマトームを使えるようになるまでは他の人と一緒にデルマトームの図を見ながら患者さんのアセスメントをしていくと良いです。
今回の記事が少しでも患者さんのためにお役立てできれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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