心不全はいろいろな病気が関わっています
こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。
私のX(旧Twitter)で人気のあった記事、心不全と○○○の記事を書きました。
この記事では、心不全といろいろな病気が関わっていることがわかります。
心不全と便秘
心不全患者さんにおいて、便秘は特に注意が必要な状態です。
心拍出量の低下や利尿薬の使用、水分制限、食事摂取量の減少、活動量の低下などにより機能性便秘が起こりやすくなります。
便秘による排便時のいきみは、血圧を上昇させ、心臓に負担をかけるため、心不全患者さんの排便コントロールは非常に重要です。
排便時のいきみを避けるためには、以下のような対策が有効です。
また、排便時にはゆっくり息を吐きながら行い、呼吸が乱れないように注意することが推奨されています。
心不全患者さんの日常生活においてこれらの点に気をつけることで、心臓への負担を減らし、症状の悪化を防ぐことができます。
心不全とCOPD
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、たばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じる呼吸器疾患です。
一方、心不全は心臓が必要な量の血液を全身に送り出すことができなくなる状態です。
COPDと心不全は密接に関連していることが近年明らかになってきました。
COPDは肺だけでなく、全身性の炎症を引き起こします。
COPDにみられる併存症は心不全患者と併存するものが多いです。
- 心・血管疾患:高血圧症、心筋梗塞、狭心症、不整脈、脳血管疾患
- 代謝性疾患:糖尿病
COPDは心不全発症や心血管死の独立した危険因子であり、左心不全患者の約20~30%にCOPDが併存すると言われています。
禁煙の重要性
COPD患者における禁煙は1秒量の経年低下を抑制し死亡率を減少させます。
1秒量は、肺機能検査で測定される項目の一つです。 深く息を吸って一気に吐き出した空気量(努力性肺活量)のうち、最初の1秒間で吐き出した量の割合 を表します。正常値は70%以上 で、この値が低い場合は、気管支が狭くなって空気がスムーズに流れにくくなっている可能性があり、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの閉塞性換気障害 が疑われます。
また、心不全患者においても喫煙を中止することで、死亡率や再入院率を低下させることがわかっています。
治療
COPDと心不全の両方の治療が重要です。
心不全治療ではβ遮断薬が使用されますが、一方でCOPDでは長時間作用型β2刺激薬が用いられます。
薬理学的に効果が相反するため効果の減少が懸念されますが、COPD合併HFrEF患者へはβ遮断薬の積極的投与が推奨されています。
その場合のβ遮断薬には、β1選択性の高いビソプロロールが用いられます。
心不全と糖尿病
心不全と糖尿病は密接に関係しています。
糖尿病患者の約半数が心不全を発症し、心不全患者の約2割が糖尿病を患っています。
糖尿病は虚血性心疾患のリスクファクターです。
虚血性心疾患は心筋への血液供給が不十分な状態であり、心不全の原因の一つです。
糖尿病は以下のメカニズムで心不全のリスクを高めます。
糖尿病と心不全の合併症
- 心不全進行: 糖尿病は心不全の進行を早めます。
- 入院・死亡リスク増加: 糖尿病と心不全を併発している患者さんは、心不全単独の患者さんよりも、入院や死亡のリスクが高くなります。
治療
糖尿病と心不全の治療糖尿病と心不全の治療は、それぞれ個別に行う必要があります。
- 糖尿病治療: 糖尿病治療は、血糖値をコントロールすることが重要です。血糖値をコントロールすることで、血管障害や心筋症の進行を防止することができます。 ただし、低血糖は交感神経を賦活化させ、心血管イベントを増加させる可能性があるため避けるようにしましょう。
- 心不全治療: 心不全治療は心臓の機能を改善し、症状を軽減することが重要です。心不全治療には薬物療法、外科手術、リハビリテーションなどがあります。
予防
糖尿病と心不全の予防糖尿病と心不全の予防には、以下のことが重要です。
- 血糖値コントロール: 健康的な食事と運動習慣を心がけ、血糖値をコントロールしましょう。
- 血圧コントロール: 高血圧は心不全のリスクを高めるため、血圧をコントロールすることが重要です。
- 禁煙: 喫煙は血管を傷つけ、硬くするため禁煙しましょう。
- 適度な運動: 適度な運動は心肺機能を改善し、血糖値をコントロールするのに役立ちます。
- 定期的な健康診断: 定期的な健康診断を受け、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を早期に発見・治療しましょう。
まとめ
今回の記事では心不全と便秘・COPD・糖尿病について解説しました。
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