モルヒネについてどのような印象をお持ちでしょうか?もしかすると、あなたのモルヒネに対する『常識』が実は間違っているかもしれません。
こんにちは!病院薬剤師のMoKaです。
「モルヒネを使うことになりました」-この言葉を聞いて、不安を感じる方は多いのではないでしょうか。特に、がんの痛みの治療でモルヒネが処方された際に、患者さんやご家族から心配な声が寄せられます。
しかし、現代の緩和ケアにおいて、モルヒネは「最期の薬」ではありません。むしろ、痛みを和らげることで、その人らしい生活を支える大切な薬の一つとして位置付けられています。
なぜ、今「モルヒネについて」お伝えする必要があるのでしょうか?緩和ケアの目的は、重い病気と向き合う患者さんの苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を改善すること。
その中で、痛みのコントロールは最も重要な要素の一つです。
適切な疼痛管理で
- 十分な睡眠がとれる
- 家族との時間を楽しむことができる
- 好きな活動を続けられる
といった、日常生活の質を保つことが可能になります。
痛みによってQOLが低下することは患者さんにとって大きな負担となります。適切な疼痛管理はその負担を軽減し、より充実した日々を送るための重要な支援となります。
医療の現場ではモルヒネを含む医療用麻薬は、WHO(世界保健機関)のガイドラインに基づいて科学的根拠のある治療法として確立されています。
この記事を通じてモルヒネについて正しい理解を深め、より良い疼痛管理につながる情報をお届けします。
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緩和ケアとモルヒネの関係
モルヒネは緩和ケアにおいて欠かせない非常に重要な薬です。緩和ケアは痛みや苦痛を和らげ、患者さんのQOLを向上させることを目指す医療であり、そのためにモルヒネが必要とされています。
緩和ケアは、生命を脅かす重い病気に直面する患者さんのさまざまな苦痛を和らげ、QOLを高めることを目的としています。特にがん患者さんの場合、身体的な痛みだけでなく社会的・精神的な痛みも経験することがあります。身体的な痛みに対しては市販されている鎮痛薬、たとえばロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどが効果的な場合もありますが、がんの部位や病状によってはそれらの薬では十分に痛みが和らがないこともあります。
そのような場合、モルヒネなどの医療用麻薬が必要になります。これらの薬を使うことで痛みが和らぎ、患者さんは快適な日常を取り戻すことができるのです。
つまり、痛みという大きな苦痛をモルヒネで軽減し、患者さんのQOLを向上させることが緩和ケアの目指すところです。
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モルヒネに関する誤解と真実
モルヒネと聞くと、「もう最期の薬」というイメージを持つ方も多いかもしれません。「モルヒネを使うと、もう終わりなんだ…」と感じる人もいるかもしれませんが、実際にはそうではありません。モルヒネは命を縮める薬ではなく、痛みという苦痛を和らげるための薬です。
痛みはがんの末期だけでなく、早期から現れることも少なくありません。人(特に日本人?)は「痛みは我慢したほうがいい」と考える方も多いようです。しかし、それは誤解です。痛みを我慢することで、
• 夜に眠れなくなる
• 動くたびに痛みが走り、日常の動作が制限される
• 1日中痛みに悩まされ、普通の生活が難しくなる
といったデメリットが生じます。さらに、痛みが長期間続くと、より強く痛みを感じやすくなることもあります。
ですから、痛みを感じたら、末期に限らず早期から対策を講じることが大切です。モルヒネの使用により痛みを抑えることで、快適な日常生活を取り戻すことができます。「この薬を飲んで痛みが和らいだのに驚きました。もっと早く使いたかった!」とおっしゃる患者さんもいます。
モルヒネは「最期の薬」ではありません。痛みがあれば、早期から使える薬です。この事実を、もっと多くの方に知っていただけたらと思います。
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モルヒネの基本的な知識
モルヒネは医療用麻薬の一種です。医療用麻薬とは患者さんの治療のために国から使用が認められた麻薬で、モルヒネのほかにオキシコドン、フェンタニル、ヒドロモルフォンなどが含まれます。
モルヒネは痛みを和らげるために使われることが多い薬です。モルヒネがどのようにして痛みを和らげるかというと、脳内の「オピオイド受容体」に作用する仕組みです。オピオイドとはこのオピオイド受容体に働きかける薬の総称で、モルヒネのような天然の物質やそれを基にした合成薬が含まれます。モルヒネは脳のオピオイド受容体に作用することで、痛みを感じにくくさせ、さらに痛みに対する防御力も高める効果を発揮します。
モルヒネには、飲み薬(錠剤、散剤、液剤)、坐薬、注射剤など、多様な剤形があり、患者さんの好みや状況に応じて選ぶことができます。これにより、一人ひとりのニーズに合わせた使い方ができるのも特徴です。
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モルヒネによる期待できる効果
モルヒネを使うことで、痛みをコントロールできる効果が期待できます。痛みが出た時に自分で対処できる方法があるというのは、患者さんにとって非常に大切なことです。その手段がないと、痛みに対する不安がさらに増してしまいます。
また、痛みを和らげることでQOLの向上も期待できます。たとえば、痛みがなくなることで、
• 夜にしっかりと眠れるようになる
• 自由に体を動かせるようになる
• じっとしている間も痛みを感じないで済む
といった変化が起き、痛みのある生活に比べて格段に快適な日常を過ごせるようになります。このように、モルヒネは痛みのコントロールを通じて、患者さんのQOL向上に大きく貢献します。
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モルヒネの副作用とその対策
モルヒネは痛みを和らげる効果がある一方で、いくつかの副作用もあります。今回は、その中でも「便秘」「吐き気」「眠気」の3つに焦点を当ててご紹介します。
まず、便秘についてです。モルヒネを使用していると、多くの方が便秘を経験します。モルヒネによる便秘は体が慣れにくく、使用中は継続して便秘が続くため、必ず対策が必要です。「便秘くらいそんなに気にする必要はないですよね」と思うかもしれませんが、便秘を安易に考えない方がいいです。なぜなら便秘によりさまざまな症状が出現するからです。痛みや吐き気、腹部膨満感など・・・。便秘によりQOLが低下します。ですので早めから対策をしておくほうが良いです。便秘対策として、便秘薬の使用や、食生活の見直し、適度な運動などがあります。
次に、吐き気についてです。モルヒネを使用している方の約3割に吐き気が出現します。特に、モルヒネの使用を開始した時や増量した時に現れやすいですが、便秘とは異なり、1週間ほどで体が慣れることが多いです。それでも吐き気が続く場合は、吐き気止めを使用したり、他の医療用麻薬に切り替えたりすることで対策が可能です。
最後に、眠気についてです。眠気も吐き気と同様に、約3割の方に現れます。多くの場合、1週間程度で体が慣れてくるので、吐き気と似た特徴があります。心地よい眠気であれば問題はありませんが、日中に寝てしまう、起きられないといった不快な眠気が続く場合は注意が必要です。特定の治療薬はないため、医療用麻薬を変更するか、日中にカフェインを摂るなどの対策が効果的です。
モルヒネの使用には、このような副作用とその対策を講じることが大切です。
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まとめ
今回はモルヒネについてまとめました。
何度も言いますが、モルヒネは「最期の薬」ではないです。痛みがあれば早期から使うことが可能です。
モルヒネについて正しい知識を持ち、安心して使用していただきたいと願います。
今回の記事が患者さんのためになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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