【緩和ケア】オピオイドスイッチングのタイミングを詳しく解説

緩和ケア

オピオイドスイッチングのタイミングや方法について緩和薬物療法認定薬剤師が解説します。

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こんにちは。病院薬剤師のMoKaです。

今回の記事はオピオイドスイッチングのタイミングについてです。

こんな人にオススメ
  • オピオイドを使う治療に関わることがある薬剤師・看護師などの医療者
  • オピオイドスイッチングのタイミングについて知りたい
  • 緩和ケアに関わる医療者
新人薬剤師
新人薬剤師

ナルサス錠を服用していた患者さんが薬を飲めなくなったから、ナルベイン注に変更したいけど変更のタイミングや方法を教えてと医師から問い合わせがありました。

オピオイドを使用し治療を行っていても何らかの理由で変更しないといけない場合があります。

そんな時にどのオピオイドに変更するか、換算量はどれくらいかなども大事ですが、オピオイドスイッチングのタイミングも大事です。

しかもオピオイドスイッチングのタイミングは製剤によっていろいろパターンがありますので、非常に混乱します。

今回の記事では緩和薬物療法認定薬剤師のMoKaがオピオイドスイッチングのタイミングについて解説します。

ぜひ、最後までお読みください。

でも、最後まで読む時間なんてないよという人は下の画像だけでも確認していただけたら嬉しいです。

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オピオイドスイッチングとは?

オピオイドスイッチングはオピオイドを変更することで、オピオイドローテーションと呼ばれることもあります。

この変更にはオピオイドの種類を変更することだけでなく、オピオイドの投与経路を変更することを含む場合もあります。

  • オキシコドン徐放錠からフェンタニル貼付薬に変更
  • オキシコドン徐放錠からオキシコドン注へ変更

オピオイドスイッチングの目的を明確に

オピオイドスイッチングをなぜ行うのか、その目的を明確にしておくことはとても重要です。

なぜなら、目的がはっきりしていないのにオピオイドスイッチングを行うと、オピオイドスイッチング後の評価に困るからです。

目的を明確にしておくとこの患者さんは何に困っていたから、オピオイドスイッチング後はこれを評価しようとなります。

オピオイドスイッチングを行う前に多職種や患者さんと相談し、目的をしっかりと明確にしておきましょう。

さて、オピオイドスイッチングを行う目的にはどのようなことがあるのでしょうか?

オピオイドスイッチングを行う目的
  • 副作用が問題
  • 腎機能障害が問題
  • 鎮痛効果が不十分
  • 投与経路を変更しなくていけない

眠気やせん妄、悪心・嘔吐、便秘などのオピオイドによる副作用が出現した場合、オピオイドスイッチングをすることで副作用が軽減される可能性があります。

モルヒネを使用中に腎機能が悪化すると、モルヒネによる副作用が出現する可能性があるので、腎機能が悪くても使用しやすいオピオイドへ変更します。

オピオイドを増量しても鎮痛効果が不十分な場合、他の種類のオピオイドへ変更することで疼痛コントロールが良好になる可能性があります。

経口のオピオイドを使用していましたが内服が難しくなってきた場合に、非経口投与でオピオイドを投与する必要があります。

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【本題】オピオイドスイッチングのタイミング

オピオイドスイッチングを考えるうえで大切なことは、先行オピオイドの減量・中止、変更オピオイドの開始のタイミングです。

誤ったタイミングで先行オピオイドを減量・中止したり、変更オピオイドを開始したりしてしまうと鎮痛効果が不十分であったり、副作用が出現する危険性があります。

ここから例を示しながら、変更タイミングを解説していきます。

なお、ここで示すオピオイドスイッチングのタイミングは一例で絶対ではありません。

勤務されている施設で使用されているタイミングがあればそちらを優先してください。

以下、変更前のオピオイドを先行薬A、変更後のオピオイドを変更薬Bとします。

12時間徐放性製剤からの変更

12時間徐放性製剤から変更する場合は、24時間徐放性製剤や注射製剤へ変更と貼付薬へ変更の2パターンあります。

24時間徐放性製剤や注射製剤へ変更するパターンは、先行薬A最終投与の12時間後を目安に変更薬Bを開始します。

先行薬Aがオキシコドン徐放錠、変更薬Bがヒドロモルフォン徐放錠の場合

8時にオキシコドン徐放錠を服用し、その後は中止。20時にヒドロモルフォン徐放錠を開始する。

貼付薬へ変更するパターンは、先行薬A最終投与と同時に変更薬Bを開始します。

先行薬Aがオキシコドン徐放錠、変更薬Bがフェンタニル貼付薬1日用の場合

8時にオキシコドン徐放錠を服用し、同時にフェンタニル貼付薬1日用を開始。以後、オキシコドン徐放錠は中止する。

24時間徐放性製剤からの変更

24時間徐放性製剤から変更する場合は、12時間徐放性製剤や注射製剤へ変更と貼付薬へ変更の2パターンあります。

12時間徐放性製剤や注射製剤へ変更するパターンは、先行薬A最終投与の24時間後を目安に変更薬Bを開始します。

先行薬Aがヒドロモルフォン徐放錠、変更薬Bがオキシコドン徐放錠の場合

8時にヒドロモルフォン徐放錠を内服し、以後は中止。翌日の8時からオキシコドン徐放錠を開始する。

貼付薬へ変更するパターンは、先行薬A最終投与12時間後に貼付薬を開始します。

先行薬Aがヒドロモルフォン徐放錠、変更薬Bがフェンタニル貼付薬1日用の場合

8時にヒドロモルフォン徐放錠を内服し、以後は中止。20時にフェンタニル貼付薬1日用を開始する。

注射製剤からの変更

注射製剤から変更する場合は、徐放性製剤へ変更と貼付薬へ変更の2パターンあります。

徐放性製剤へ変更するパターンは、変更薬B開始と同時に先行薬Aを中止、もしくは変更薬B開始1~2時間後に先行薬Aを中止します。

先行薬Aがヒドロモルフォン注、変更薬Bがヒドロモルフォン徐放錠の場合

8時にヒドロモルフォン徐放錠を内服し、同時にヒドロモルフォン注は中止します。

貼付薬へ変更するパターンは、変更薬Bを貼付6時間後に先行薬Aを50%量に減量し、12時間後に中止します。

先行薬Aがフェンタニル注、変更薬Bがフェンタニル貼付薬1日用の場合

10時にフェントステープを開始し、16時にフェンタニル注を50%量に減量、22時にフェンタニル注を中止します。

貼付剤からの変更

フェンタニル貼付薬1日用から変更する場合は、徐放性製剤へ変更と注射製剤へ変更の2パターンあります。

徐放性製剤へ変更するパターンは、先行薬Aを剥離し12時間後を目安に変更薬Bを開始します。

先行薬Aがフェンタニル貼付薬1日用、変更薬Bがヒドロモルフォン徐放錠の場合

7時にフェントステープを剥離し、19時にヒドロモルフォン徐放錠を開始します。

注射製剤へ変更するパターンは、先行薬Aを剥離し6時間後に変更薬Bを50%量で開始し、12時間後に100%量に増量します。

まとめ

今回はオピオイドスイッチングについてやその目的、タイミングについて解説しました。

いろいろなパターンがあるので混乱しますよね。

オピオイドスイッチングのタイミングを完璧に覚えるのは大変ですし、完璧だと思って過信すると患者さんへ不利益が生じてしまう可能性があります。

実際にオピオイドスイッチングを行う時は書籍などで確認しながら、他の医療者に確認してもらうことをお勧めします。

今回の記事が誰かの役に立っていれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

また、ここで示しているオピオイドスイッチングのタイミングなどで患者さんに何らかの不利益が生じても当サイトは一切の責任は負いませんので、あらかじめご了承ください。

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参考資料

医療用麻薬適正使用ガイダンス令和6年

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版

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