【高リン血症治療薬】フォゼベル錠について知っておくべき最低限のこと

薬剤師

高リン血症治療薬のフォゼベル錠(一般名:テナパノル塩酸塩)について解説します。

こんにちは。病院薬剤師のMoKaです。

今回は新しい高リン血症治療薬のフォゼベル錠について解説していきます。

慢性腎臓病における高リン血症

慢性腎臓病(Chonic Kidey Disease、以下CKD)患者では、腎臓の機能が低下することで体内にリンが蓄積し、高リン血症が起こります。

高リン血症では血管や関節などの石灰化により動脈硬化や関節痛などが起こりやすくなります

また、副甲状腺ホルモンの過剰分泌が起こり、骨がもろくなります。

高リン血症が引き起こす代表的な合併症
  • 血管が石灰化して硬くなり、心臓病や脳卒中の発症リスクが高まる
  • 骨がもろくなり、骨折しやすくなる

新しい高リン血症治療薬「フォゼベル錠」

高リン血症治療薬には、「セベラマー塩酸塩」「炭酸ランタン」「ビキサロマー」「クエン酸第二鉄水和物」「沈降炭酸カルシウム」があります。

主に薬がリンと吸着することで、リンの排泄を促進し高リン血症を改善する薬です。

フォゼベル錠の名前の由来は、新規(novel)作用機序のリン(phosphate)吸収阻害薬というだけあって、今までの高リン血症治療薬と少し違います。

簡単に言いますと、リンの吸収を低下させることで高リン血症を改善する薬です。

作用機序

フォゼベル錠は腸管上皮細胞の頂端膜に存在するNa+/H+ exchanger isoform 3(Na+/H+交換輸送体3、以下、NHE3)を阻害します。そうすると腸管上皮細胞内のH+濃度が上昇(細胞内pHが低下)し、細胞間隙のリン透過性が低下することで、リンが吸収されにくくなります。

適応症

透析中のCKD患者における高リン血症の改善

透析中となっているため、CKDであっても透析としていなければ使用することができませんので注意してください。

投与方法

用法は1日2回の朝食・夕食直前です。ただし、透析中の排便が心配な場合は、朝・夕以外の食直前でOKです。

用量は1回5mgからスタートし、10mg→20mg→30mgと順に増量していきます。増量する時は1週間以上の間隔を空けることに注意してください。最大用量は1回30mgなので1日60mgとなっています。

副作用

高頻度(約60%)で下痢が出現します。

かなり多い印象を受けますね。

どれくらいの下痢なのかというと、メーカー学術に確認するとほとんどがブリストル便形状スケールで4〜5の便のようです(排便回数までは分かりませんでした)。

CKD患者さんは便秘の人が多いので、副作用だけど便秘が解消されてメリットとなる可能性もあります。

実際、海外では便秘型過敏性腸症候群の治療薬としても販売されています。

ですので、排便回数が明らかに多い、便の性状が水のようだなどが続くようであれば、減量や中止をした方がよさそうです。

まとめ

今回は新しい高リン血症治療薬フォゼベル錠について解説しました。

要点
  • 今までの高リン血症治療薬と違う機序でリンの吸収を低下させる
  • 副作用で下痢が高頻度で起こるが、便秘が解消される可能性あり

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